自尊心を持っていない人は、次のような事柄が当てはまることが多いのですが、みなさんはいかがでしょうか。

◆子供の頃に親から「言うことを聞きなさい、優等生でいなさい」と様々なことを押しつけられていた
◆家庭の中で、自分の意見や気持ちを聞いてもらえなかった
◆親が世間体ばかりを気にしていた
◆「周囲の人が○○だと言っているから」という生き方をしている

 

 これらの経験があると、子供はそれを参考に自分のパターンをつくってしまいます。

 自尊心とは、「自分自身の気持ちややりたいこと、意見を尊重すること」ですから、あらかじめ子供時代にこのパターンを教えられたり経験したりしたことがないと、大人になってからも「自尊心を持ったやり方」を行うことができません。

 そうすると、次のようなことが起こってきます。

 

◆嫌だと思っていても表現できないから、他者がどんどんあなたに色々なことを押しつけてくる


◆いつも相手の顔色をうかがって怯えており、自分に自信を持つことができないため、威圧的に支配される


◆反射的に自分の意見を押し殺してしまうので、「意見を持っていない優柔不断な人」と思われ、出世できない


◆何を言っても「はい」と言って言うことを聞くため、相手の都合でいいように使われてしまう

 

 このように、自尊心を持たない人というのは、「自分よりも他者の意見を尊重する」ということが人生の目的になってしまっているため、他人の犠牲になりやすいんですね。

 恋愛においては、支配的な男性の言いなりになってしまったり、愛されるためにすべてを受け容れようとして、都合の良い女になってしまいます。

 それでは、こうした心理パターンを改善するためにはどうしたら良いのでしょうか?


◆1◆ 自分の意見を「持ち」、「伝える」
 たとえ相手と自分の意見が異なっていたとしても、「自分の意見を持つ権利」があります。
 この時、相手が希望していることが自分の考えていることに沿わなかったとしても、曲げる必要はありません。できないことは「できない」と伝えることが重要です。相手と自分の意見が違うときに、自分を殺して相手にあわせてしまう人がいますが、そうするとどんどん相手があなたを奴隷のように扱うようになってしまいます。
 これらは、「私はこれが食べたい」「申し訳ないけれど今日は残業できない」というように、あなた自身がはっきりと自分の意見を持ち、主張することで改善されていきます。


◆2◆ 嫌なこと・好きなことの基準を明確にする
 自分を守るためには、まず、自分自身の基準にのっとって行動することが必要です。
 どこからどこまでを受け容れられることで、どこからが受け容れられないのか、好き・嫌いなどの基準がなければ、断ることも受け容れることができません。
 例えば、「今は仕事があるので時間をとれない」とか、「明日朝が早いから、今日は長電話はできない」など、自分の状態に照らし合わせて関わりましょう。
 この基準は、あくまで「自分自身の今の状態、無理をしない範囲」に沿ってよいのです。他者の基準ではなく自分の基準を優先してあげましょう。

 

◆3◆ マイナスの感情を受け止める
 嫌だと思うことや、相手を嫌うことを「悪いことだ」と思い、避けてしまう人がいますが、実はこうしたマイナス感情も自分を守るための大切な指針です。
 恐怖を感じる相手から適切な距離を置く、嫌だと思う関係性から離れて尊敬しあえる人と関係を持つ、悲しいと感じたらそれを我慢することなく表現する…
このように、マイナスの感情を元にして行動してあげることで、自分自身を苦しみから守り、より良い関わりを持てるようになります。

 

◆4◆ 他者の責任を負わない、他者と自分を切り分ける
 心が優しく真面目な人ほど、他者の責任や他者の幸せを背負ってしまいがちですが、他人と自分との境界線を引いて物事を考えることが大切です。
 たとえ両親であったとしても、相手の人生を肩代わりしたり、代わりに相手を幸せにしてあげることはできません。
 そして、あなたが他人のことにかかり切りになっているときには、あなた自身の大切な人生、あなたという存在は、尊重されていません。
 だからこそ、まずは「自分自身の人生をどうしていきたいのか」その責任をとることが大切です。


 これらの行動をとるとき、心の中を見ずに、ただ外側だけを頑張って変えようとしても、行動の軸となる思考は変わっていませんから、「頑張ったのに戻ってしまう」ということが起きます。
 けれども、心の中を変え、不幸の原因となっている自尊心のなさを改善することによって、自発的に場面にあわせて「自分を大切にする行動」をとっていけるようになるのです。
             
                          以上